成功するためには何が必要か?内村航平にみる「準備」の大切さと考え方

 成功するためのあらゆる方法が商売になる時代です。特にSNSでは商品の販売やメンタルトレが大流行りのようです。

 幸福などというものは、ひとりひとりの感覚であって、簡単に幸福になる道などありえないように思います。小生も同じです。

 アモーレな関係もみんな作りたいと思っています。

 もちろん、これだけで誰でも幸せになれるという共通の方法はありません。

 しかし、ひとりひとりにはその方法は存在します。

 共通していることでは、積極性や計画性などです。

 そのほかにも健康であること、観察力を磨くことなどがあります。

 今回、小生が演出家として行ってきたことを少し紹介させていただきます。

 先日亡くなられた、蜷川さんやつかこうへいさんなどは繰り返し、俳優を追い詰めてゆくタイプでした。体操の内村航平選手が「練習を一回しかしない」と言うのをお聞きして、小生の演出を思い出しました。小生は一日、一回しか稽古をしません。部分的な練習、基礎的なことは繰り返し役者の稽古に付き合います。しかし、それ以上、つまり全体のレッスンとしては決して二回見ることはありません。

 それはなぜなのか?人生に2回はないからです。舞台というのは一度上がったら、降りるまで演じ続けなければなりません。一回性の問題です。それは鈴木忠さんやムニューシキンの考えの方が正しいと思います。グロトフスキーも同じです。

 演出家が灰皿を投げて怒る、怒鳴るというのがレッスンのように思うひとがいます。たくさん、いらっしゃるでしょう。蜷川さん的には正解と思われているひともプロの間では多いはずです。でもこれはナルシズム、自己満足です。

 これはあなたの人生の仕事でも同じことです。一度起きたことは取り返すことも変更もできません。

 クラッシック音楽で指揮者がすること、それは絵を渡す作業です。調整や共通項を確認し、再認識させることをしているのです。

 もちろん、舞台であらゆる方法が、すべて正解であることを認めた上で、小生は二度見ません。幕が開けば、役者は勝手に動けるからです。演奏家であれば、指揮者に関係なく音を出すことができるからです。

 お互いが信頼を表し、観客と感動を分け合うためには、感動を先取りしなければならないのです。つまり、一回にかけるということは、とても重要なことなのです。内村航平選手は天才でもありますが、それは一回に強い、日本人離れしたハートを毎日育んでいるということです。失敗したら何度でも挑戦するというのは立派なことです。記録を出すまで挑戦し続けることも偉大なことです。

 しかし、一回に全力を出し切るためにはメンタルを含め、楽しさ、快適さがなければできないということなのです。つまり、内村航平選手は緊張していないということです。リラックスしているということです。

 これが案外、肝なのです。

 楽しく、一回に集中する環境、つまり準備段階で勝負はついているのです。

 あなたに提案したいのは一回に楽しくリラックスして全力を出す、表現できる「準備」をしっかりすることをお勧めします。